2017年10月22日 (日)

オーランドー(2017/10/22)

兵庫県立芸術文化センター阪急中ホールで舞台「オーランドー」を観てきました。
台風21号が接近する雨模様でしたが、阪急西宮北口駅からは屋根付きの
ペデストリアンデッキがあるので濡れずに済みます。
出演は多部未華子さん、小柴風花さん、戸次重幸さん、池田鉄洋さん、
野間口徹さん、小日向文世さん。
開演のベルなどはなくスクリーンに映像が映し出されるとともに静かに始まります。
最初は16世紀のイングランドが舞台で、少年オーランドー(多部未華子さん)が
元気に動き回る姿はメルヘンチックな印象を受けます。やがてオーランドーが
女性になったり100年、200年と時間が過ぎたりと、不思議な世界が繰り広げらます。
時代とともにオーランドーの周囲の人物はどんどん変わっていきますが、
オーランドーもまた時代に合わせて変わっていき、別のストーリーが連なっていると
思える展開です。

物語を通じて感じるのは価値観について。時代とともに変わる価値観と普遍的な価値観。
時代とともに大切なものや考え方というものが変わっていく半面、
出演者が6人だけということもあり、いつの時代も同じような人たちが同じようなことを
繰り返しているようにも感じ取ることができます。
ナレーションのようなセリフは、客観的で淡々と流れる必然性を表しているようでも
あります。セットはわずかしかないのですが、セリフが多いためか
かなり濃密な舞台だと感じました。ピアノ、サックスなど、パーカッションなどを担当する
3人の生演奏も時代変化が感じられて印象的でした。

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2016年4月17日 (日)

月の角度(2016/04/16)

 大阪天王寺一心寺シアター倶楽で行われたNAO-TA!プロデュースvol.9「月の角度」の
大阪初日夜公演を観てきました。大阪は2日間4公演です。

 「月の形は変わるけれど本当は真ん丸。太陽の位置で形が変わる。誰もが月にも太陽にもなる。」

 ある三世代の家族と、その隣人の学校の先生が登場人物。痴呆や介護といった重い
テーマがベースにありますが前半は笑いの多い内容です。とはいえ笑いの内容はちょっと
古め。
 隣人の先生が介護施設に入ることになり、その息子、先生の教え子の祖父母と娘と孫。
家族の見え方はそれぞれの立場によって違うけれど、思っていることは皆が幸せでいられること、
というTARAKOさんらしい温かみのある内容です。
 年齢とともにできないことが増えてきたり、記憶がおぼつかなくなったり。挫折を経験して
立ち上がるまでに時間がかかったり。誰もが経験するようなことをさらっと描いた作品でした。

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2016年3月 5日 (土)

ETERNAL CHIKAMATSU(2016/03/05)

大阪梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで舞台「ETERNAL CHIKAMATSU」を観てきました。
近松門左衛門「心中天網島」をモチーフにした谷賢一さん作、デヴィッド・ルヴォーさん演出 の舞台です。

自殺した夫の借金を返すために風俗店で働く はる(深津絵里さん)が、好きになってしまった
常連客と別れさせられてしまい、失意の中で橋の上から水面を眺めていた時に
江戸時代の曽根崎新地の遊女小春(中村七之助さん)と交錯する…というように、
はるが心中天網島の物語に立ち会うといったストーリーでした。
テーマとなっているのは女の義理と情。妻と浮気相手の遊女は敵対関係になるはずなのに、
どちらも自分たちが社会的に弱い存在であることを理解していて、女性らしい結束が
「義理はないけど情はある」という言葉に表されていました。

現代の配役や人間関係と心中天網島のそれらが重ねてあるため、ストーリーはわかりやすく
展開に自然な流れがありました。台詞回しには歌舞伎の特徴もあるのですが、とても
聴きやすいものでした。
また、心中天網島に出てくる地名や橋の名前が今も残っていることから(曽根崎はもちろん、
桜橋とか梅田橋とか)、現代とすんなりつながります。

深津絵里さんの張った声がぐいぐいストーリーに引き込んでいきます。舞台なのであまり
派手な装飾はできないのだと思いますが、遊郭らしさを表す鮮やかな赤色が映えていました。
また、歌舞伎をベースにした所作の美しさやタイミングの巧みさなどが印象的でした。

余談ですが、お客さんは女性客が7~8割で年配の女性の多さが目立ちました。
中村七之助さん目当てのようです。現代の年配の女性集団は社会的に強いですね。

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2016年1月 9日 (土)

ツインズ(2016/01/09)

多部未華子さんが出演する舞台「ツインズ」を観てきました。

舞台は海辺の家。現代のようでもあり、近未来の陽でもあります。
BGMのピアノの音に合わせて演奏するエアピアノ状態の多部ちゃんから
始まります。
リュウゾウ(吉田鋼太郎さん)とハルキ(古田新太さん)が兄弟、
イラ(多部ちゃん)はハルキの娘。リュウゾウとハルキの父が
長年疎遠にしていたハルキを呼びよせるのですが、その父は生きているのか
死んでいるのかわからない状態。実は世話をしている看護師のローラ
(りょうさん)が呼んだもの。
公害を連想させる「外の出てはいけない」「水道水は飲めない」という
ハルキやハルキの甥のタクト(葉山奨之さん)に対し、タクトの妻のユキ
(石橋けいさん)、ローラが連れてきたトム(中山雄一朗さん)を含め、
皆が気にすることなく食事をしています。イラはそんな状況にすぐなじみ、
リュウゾウと敵対していたハルキもやがて食事をすることで穏和になります。
リュウゾウやハルキの姉でタクトの母は行方不明。海に消えたという
リュウゾウの言葉をタクトは信じていません。やがてユキとタクトの双子の
子供も行方不明に。

双子だから「ツインズ」ということではなく、さまざまな組み合わせで
二人芝居かと思わせる濃厚な展開こそが「ツインズ」の意図なのだと
思わされます。特に吉田鋼太郎さんと古田新太さんのやり取りは
迫力のあるものでした。

ここで終わるのかとびっくりするくらい、考え落ちのような意味深な
エンディングでしたが、気が付くと2時間があっという間に過ぎていました。

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2015年6月 6日 (土)

サムライフ(2015/06/06)

神戸三宮映画祭で、上映作品の一つ「サムライフ」をミント神戸シアター6で観てきました。
当初予定から大きな会場に変更されたとのことでしたが、かなりの盛況でした。
舞台挨拶には松岡茉優さんと監督の森谷雄さん。

この作品が「社会保障審議会福祉文化財」に指定されたことを発表していました。
映画は長野県上田市の教師が不登校などの子供たちを受け入れる学校を作るまでの話。
その先生であった長岡秀貴が自費出版で出した本を森谷監督が偶然見かけ、映画化を
決めたのが8年前とのこと。8年かかったからこそ、松岡茉優さんは「出演できた」と話していました。
また、この映画が「社会保障審議会福祉文化財」に選出されたとの発表もありました。

映画のテーマは「居場所」になるかと思います。居場所がない子供たちに学校を作ることを
夢とした先生。はちゃめちゃで無計画な先生ではあるものの、そんな先生を慕って
居場所のない教え子たちが集まってきます。
「居場所を探している」教え子が慕う理由は、この先生が「居場所を作れる人」だから。
学校を作る夢のため教師を辞めて、不登校の子供へのカウンセラーを続けながら、
バーを開き本を出版して資金をため、ついに学校を作ってしまいます。弁が立ち
筆が立つというように、それなりの資質があるからこその成功だとも感じます。

自分の居場所がないと思っている人の気持ちはよくわかります。
この映画には出てきませんが、世の中には、他人の居場所に割り込んで平然と
している人が多すぎます。

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2015年4月19日 (日)

たいせつなきみ(2015/04/19)

NAO-TA!プロデュースの舞台「たいせつなきみ」の大阪公演を観てきました。
NAO-TA!プロデュースはTARAKOさんと渡辺菜生子さんのちびまる子ちゃんコンビで、
今回は2013年4月に東京中野ザ・ポケットで公演となった際のメンバーによる
再演となります。

今回の設定は父親の葬儀の前後のストーリーです。長女の早見一美(渡辺菜生子さん)、
次女の早見二美(TARAKOさん)、早見三美(田中真弓さん)の三姉妹と、歳の離れた弟の
早見望美(垂木才星さん)。母親は望美を産んですぐに他界しています。
その4人の父親が亡くなり葬儀の段取りをするところから。三姉妹と葬儀屋さん
(関俊彦さん、小林大介さん)とのやりとりの面白さもありつつ、亡き父親の思い出に
涙するところもありつつ、ところどころ教訓めいたところもあったりして、
TARAKOさんらしい人情味の感じられる舞台でした。

NAO-TA!プロデュースは2003年Vol.2「dear」、2006年Vol.3「one and only」、
2007年Vol.4「REPLAY」、2008年Vol.5「ribbon」、2011年Vol.6「Poco a Poco」と
観ていますが、年齢を重ねるとともに、そのライフステージに合わせたテーマになって
いるのかもしれません。いずれ訪れる死の時まで、大切な人に対して何ができるのか
何を言ってあがられるのか、どのような気持ちで過ごすのか、など、いろいろと
考えさせられる重いテーマがベースに有りながら、新たな命による未来へとつながる
内容だったと思います。

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2015年1月11日 (日)

キレイ-神様と待ち合わせした女-(2015/01/10)

多部未華子さんの出演する舞台「キレイ-神様と待ち合わせした女-」を観てきました。
2部構成で、上演予定時間は休憩15分を含む3時間35分。
作・演出は松尾スズキさん。音楽劇ということで生バンドの演奏に合わせて唄う場面が多数あります。

多部さんは主人公のケガレ役で、誘拐され地下室で育った少女。大人になったケガレはミソギという名になり
松雪泰子さんが演じており、両方の時代のストーリーが錯綜します。ケガレが地下室から出てきたときに
地上は戦場となっていて、人間の兵士と一緒に大豆でできた兵士が戦争をしている、大豆の兵士が死ぬと缶詰に
なって食料にされるという世界。ケガレは大豆兵を回収して金を稼ぐ仕事をします。
大豆の缶詰を作る会社の社長令嬢ダイダイカスミを演じる田畑智子さんとのやりとりが面白かったです。
ハチャメチャな展開でなかなか理解しにくいところも多かったのですが、最後は二つの時代がきれいにつながり
身震いを感じました。

地上すなわち人が生きている世界は様々なもので汚れていて、生まれる前や死んだ後の地下室は制約が
多いけれど平穏。戦争、金への執着、差別など世の中の醜いところへの風刺が効いた舞台でした。

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2014年12月13日 (土)

紫式部ダイアリー(2014/12/13)

長澤まさみさん、斉藤由貴さん出演の舞台「紫式部ダイアリー」を観てきました。 三谷幸喜さんの作・演出です。

舞台はバーのカウンター。紫式部(長澤まさみさん)と清少納言(斉藤由貴さん)が現代の作家という設定になっています。控えめなベテラン作家の清少納言と奔放な新進気鋭作家の紫式部、表面的には仲良さそうにしているけれど、お互いにライバルしつつ、表面的な関係から次第にお互いの心の内面に近づき似たような悩みを持っていることがわかってきます。

三谷さんはこの作品で過去の自分と現在の自分をモチーフにしている、という話を聞いたのですが、時代の移り変わりとか栄枯盛衰といったテーマになっています。次代の有能な人たちが続々と出てくる業界で、過去の人になる怖さのような心理も見えるような気がしました。

場面転換はバーカウンター全体が回るだけで、上演時間1時間45分ほど(予定は1時間40分)の間、二人はほとんど舞台上にいます。二人芝居ということもあってとにかくセリフが多い。内容はそれほど意味がないのですが。
タイトルの紫式部ダイヤリーは、紫式部が清少納言とのことを日記に書く、ということから来ているようです。

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2014年5月31日 (土)

わたしを離さないで(2015/05/31)

舞台「わたしを離さないで」

大阪梅田シアタードラマシティで上演された舞台「わたしを離さないで」を観てきました。
原作はカズオ・イシグロさんの「NEVER LET ME GO」、脚本は倉持裕さん、
演出は蜷川幸雄さん、出演は多部未華子さん、三浦涼介さん、木村文乃さんなど。

オープニングは病院のシーン。介護士をしている八尋(多部未華子さん)が学生時代の
ことを患者に尋ねられます。そして回想の形でヘールシャムという特殊な学校へと
シーンが変わります。

白いレースのカーテンが風に揺れている教室、もとむ(三浦涼介さん)はサッカーが得意だけれど
仲間外れにされている存在。そんなもとむと八尋は仲が良く、もとむを好きな鈴(木村文乃さん)は
二人の間に割って入る三角関係となります。学校生活の中で時々出てくる意味深なキーワード、
“保護官”“提供者”が先生と生徒の関係。先生は厳しいながらもどこか憂いがにじみ出ています。
ヘールシャムは全寮制の学校で外出などの自由がなく、まるで管理飼育されているかのような
環境です。生徒たちは絵画などの作品を作って、マダムと呼ばれる謎の女性に作品が気に入られると
物が買えるチケットを手にすることができます。八尋がチケットで手にしたカセットテーブには
“Oh Baby, Let me go”という歌詞があり、これを八尋は親子の内容と解釈しています。

休憩をはさみ、第二幕。
卒業後のヘールシャムやほかの施設から集まった若者が暮らす建物のシーンへ。
鈴ともとむは付き合っていたものの、二人の関係は冷めつつある状態。八尋は介護人になるための
努力をしています。三人の会話の中に意味深なキーワード、“オリジナル”が出てきます。
ヘールシャムの出身者には“オリジナル”がいて、鈴のオリジナルと思われる人を皆で
見に行くものの、オリジナルではないと落胆する鈴。八つ当たりする鈴と離れて、もとむの
提案で八尋が無くしたカセットテープを探しにいきます。

さらに休憩をはさみ第三幕。
座礁した船が見える海岸のシーン。車いすの鈴、介護士になっている八尋。介護士になったとはいえ、
いつでも“提供者”になる状況に置かれています。鈴は既に“提供者”となっていて、
待ち合わせていたもとむがゆっくりとした足取りで現れます。もとむは二度の
提供を経験しているとのこと。鈴が八尋ともとむの仲を邪魔していたことを告白し、二人で
マダムのところへ行くように勧めます。愛し合うカップルが申請すれば、提供の猶予がもらえると
いう噂があり、二人はマダムのところへ。愛の証として二人は作品を持っていきます。
そこに現れたのはヘールシャムのときの先生で、先生は提供者にも心があることを訴えるために
生徒の作品を世の中に発表していたとのこと。しかしクローン人間から臓器移植することによって
病気を克服できるとわかった一部の人たちには受け入れられることはなく、ヘールシャムが
閉鎖されても状況が変わることはありません。“提供”に猶予はなく、予定通り提供が行われる、
と先生が切なそうに話します。
「かわいそうな子供たち」と告げていなくなるマダム、残された二人に風が吹き付け、
二人の周囲は紙屑でいっぱいになります。

休憩を含め、4時間弱の大作でした。
臓器移植のために作られたクローン人間が、その運命に従うように教育されていくという
ストーリーでした。風が効果的に使われているのですが、それはまさに風に流されるままの
印象を抱かせます。汚れた世の中で、いつも犠牲になるのは子供たち、そんなメッセージが
込められているような印象でした。前半で臓器移植を扱った話であることはわかりましたが、
なかなか難解な構成で、重たいテーマだったこともあって、張り詰めた空気感が強く残る
舞台でした。

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2013年11月10日 (日)

ライクドロシー(2013/11/09)

長澤まさみさん主演の舞台「ライクドロシー」の2日目を下北沢本多劇場で観てきました。
本多劇場は椅子が小さめで、かなり窮屈な印象でした。

とある島に流れ着いた囚人が芸術家とすり替わって…というコメディーです。
前半は比較的軽快に進んでいきますが、ハチャメチャな展開になっていって
それでもハッピーエンドに収めたような強引さが感じられました。
微妙な展開ながらも細かい笑いがちりばめられていて(うまくはまっていたとは
言い切れませんが)、長澤まさみさんのコメディエンヌっぷりはもっと出ていても
良かったかも。リオ(塚地さん)の間の取り方はさすがですね。
後半のアクロの長台詞が見どころかと。

全体的には2日目らしい未熟さというか、つながりの悪さがありました。
もう少し完成度は上がってくることでしょう。

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